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抗がん

1719日本抗加齢医学会総会(2017.6.2-4 東京、2018.5.25-27 大阪、2019.6.14-16 横浜)

統合医療機能性食品国際学会 第25-27年会(2017.7.8-92018.7.21-222019.7.27-28 札幌)、

31日本動物実験代替法学会2018.11.23-25 熊本)、日本食品科学工学会 第66回大会(2019.8.28-31 札幌)発表内容

― 共同研究先:株式会社 小名細胞アッセイ技術研究所 ―

― 共同研究先:鳥取大学 農学部 共同獣医学科 臨床獣医学講座 大崎 智弘 先生 ―

   

開発のきっかけ

 

 父をがんで亡くし、がん患者のために何かできないかとの思いから、患者に最適な抗がん剤の選択を1時間で行うシステムの開発をしました。しかし、がん完治後、再発を心配されている方や、体力などの問題で抗がん剤を使えないような方には、このシステムは役に立ちません。

 そこで、これらの方々に安心して使ってもらえるような、食品で効果が期待できるものの探索を行いました。この結果、アメリカで売り上げNo. 1資材であるブドウ種子抽出物(GSE)に辿り着きました [1]。

 

ブドウ種子抽出物GSE)とは?

 

 ブドウは、紀元前3,000年からカスピ海沿岸やコーカサス地方で栽培され、長い食習慣の歴史があります [2]。ワインポリフェノールは、発酵中のブドウ種子に由来するため、GSEが注目を集めています [3]。GSEはブドウ種子より抽出したポリフェノールで、抗がん作用、抗がん剤による副作用や放射線治療による副作用を減らす効果が報告されています [4]。

 

ブドウ種子の能力を最大限に活かすには?

 

 ブドウのタネは、ブドウの赤ちゃんです。タネから芽を出し育つために、たくさんの栄養分とともに生命そのものも宿っています。これを何とか最大限に活かしたいと思いました。しかし、残念ながら単純に食べても、種子の皮は硬く、細かく粉砕してもヒトでは消化できません。

 では、中身だけ取り出せば?実はブドウのタネは、発芽に適した条件になるまで代謝やエネルギーの使用量を最低限に抑えて、成長活動を一時的に休止している休眠状態です [5]。秋に地面に落ちてから冬を越え、春になると眠りから覚め、芽を出します。このため、ブドウのタネの成分は、雨が降っても流れ出さないように、水に溶け難い形です。しかし、一度眠りから覚めると、成分を水に溶けやすい形に変えて使います [6]。ヒトでも同じで、水に溶け難いものは、体の中で水に溶ける成分に変える必要があり、効率が悪く、毒性が出やすくなる場合もあります [7]。

 抽出物やエキスも悪くないですが、やはり食品のままできれば摂取したいと考えました。

 

 

ブドウならなんでも良い?

 

 巨峰発祥の地、福岡県久留米市田主丸産の生食用の巨峰果実のタネのみを、協力農家から購入して使用しました。このため、安心でおいしい食材を厳選しました(図1)。

 

図1 協力農家の巨峰園

 

 

どうやって目覚めてもらおう?

 

 目覚めに何ヶ月も掛かるとコストも上がるし、何より同時じゃないと成分が不均一になってしまう…そこでブドウのタネを独自開発グランディール製法™により5日間で同時に目覚めさせる(休眠打破)方法を開発、赤ちゃんの生命力そのものを取り出すことに成功しました。この際タネの皮は除き、消化・吸収できる部分を分離しました(図2)。

図2 実験スキーム

 

 

迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳のヒトに対する抗がん効果

 

 ヒト膵臓がんの細胞を用いて、ヒトの消化・吸収モデルで処理後、がん細胞の直接殺傷効果を独自のHP-SPR-3Dシステム [8]を中心に評価しました(図2)。この結果、膵臓がんに対する薬効は非常に高く、市販抗がん剤である注射タイプのドキソルビシン、パクリタキセルならびにゲムシタビンを、口からの摂取で上回るほどでした(図3)。乳がん、肝臓がんでも同様に効果が確認されました(図4、5)。

 また、一般的な抗がん剤の毒性である炎症 [9]ではなく、細胞の機能停止を起こしたことから、迅速・休眠打破した巨峰ブドウ種子胚乳の副作用は低いと言えます。万が一飲みすぎた場合でも、下痢することになります。長い食習慣のある食品の安全性が見られました。

 しかし、迅速・休眠打破していないものでは、やはり動物に食べられるのを防ぐため、炎症の副作用が高いことも判明しました。

 

図3 迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳と市販薬の抗ヒト膵臓がん効果比較

図4 迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳の抗ヒト乳がん効果

図5 迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳の抗ヒト肝臓がん効果

 

迅速・休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳のヒトに対する免疫活性化効果

 

 抗がん治療では、免疫の活性化による方法も施されており、特に免疫細胞の一つであるナチュラルキラー(NK)細胞の活性化は、がん治療だけでなく、がんの再発予防、健康維持にも重要です [10]。そこで休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳のNK細胞の活性化について検討しました。この結果、非常に高い活性化が見られ、直接殺傷効果と同程度の濃度で認められました(図6)。このため、直接的な殺傷の形態と免疫を通じた間接的な形態の二種類の効果が同時に得られ、また相乗効果が期待されます(図7)。

図6 迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳の免疫活性化効果

 

図7 迅速・休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳のW抗がん効果

 

 

迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳のイヌに対する抗がん効果

 

 イヌで二番目に発症例が多いとされる乳がん [11]の細胞を用いて、ヒトの消化・吸収モデルで処理後、がん細胞の直接殺傷効果を三次元培養により評価しました。この結果、イヌ乳がんに対する薬効は、ヒト同様に非常に高くことが確認されました(図8)。また、一般的な抗がん剤の毒性である炎症ではなく、細胞の機能停止を起こしたことから、副作用は低いと言えます。万が一飲みすぎた場合でも、下痢することになります。

 一方、イヌの免疫は、ヒトと同様であることから、直接的な作用と免疫による間接的な作用のW効果が期待されます。

図8 迅速・同時休眠打破ブドウ種子胚乳の抗イヌ乳がん効果

 

 

迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳

 

 濃縮も抽出せず、長い食習慣のある食品そのままで、安心・安全な高機能化に成功しました。年齢とともに低下していく若々しさや、健やかさ。これを巨峰ブドウの赤ちゃんの生命力が、体本来の力に働きかけ、良い状態に保つお手伝いをします。健康食品としての開発を終了し、現在は医薬品としての開発を行っています。大切なワンちゃんにも!

 

引用文献

[1] Sparreboom, A., Cox, M. C., Acharya, M. R., & Figg, W. D. (2004). Herbal remedies in the United States: potential adverse interactions with anticancer agents. Journal of Clinical Oncology22(12), 2489-2503.

[2] Myles, S., Boyko, A. R., Owens, C. L., Brown, P. J., Grassi, F., Aradhya, M. K., Prins, B., Reynolds, A., Chia, J.-M., Ware, D., Bustamante, C. D., & Bustamante, C. D. (2011). Genetic structure and domestication history of the grape. Proceedings of the National Academy of Sciences108(9), 3530-3535.

[3] Leifert, W. R., & Abeywardena, M. Y. (2008). Grape seed and red wine polyphenol extracts inhibit cellular cholesterol uptake, cell proliferation, and 5-lipoxygenase activity. Nutrition Research28(12), 842-850.

[4] Sharma, G., Tyagi, A. K., Singh, R. P., Chan, D. C., & Agarwal, R. (2004). Synergistic anti-cancer effects of grape seed extract and conventional cytotoxic agent doxorubicin against human breast carcinoma cells. Breast cancer research and treatment85(1), 1-12.

[5] Finch‐Savage, W. E., & Leubner‐Metzger, G. (2006). Seed dormancy and the control of germination. New phytologist171(3), 501-523.

[6] Kigel, J. (Ed.). (1995). Seed development and germination (Vol. 41). CRC press.

[7] Gibson, G. G., & Skett, P. (2013). Introduction to drug metabolism. Springer.

[8] Johzuka, J., Ona, T., & Nomura, M. (2018). One hour in vivo-like phenotypic screening system for anti-cancer drugs using a high precision surface Plasmon resonance device. Analytical Sciences34(10), 1189-1194.

[9] Nurgali, K., Jagoe, R. T., & Abalo, R. (2018). Editorial: Adverse Effects of Cancer Chemotherapy: Anything New to Improve Tolerance and Reduce Sequelae?. Frontiers in pharmacology9, 245. https://doi.org/10.3389/fphar.2018.00245

[10] Capuano, C., Pighi, C., Battella, S., Santoni, A., Palmieri, G., & Galandrini, R. (2019). Memory NK Cell Features Exploitable in Anticancer Immunotherapy. Journal of immunology research2019, 8795673. https://doi.org/10.1155/2019/8795673

[11] Nikzad, R., Angelo, L. S., Aviles-Padilla, K., Le, D. T., Singh, V. K., Bimler, L., Vukmanovic-Stejic, M., Vendrame, E., Ranganath, T., Simpson, L., Haigwood, N. L., Blish, C. A., Akbar, A. N., & Paust, S. (2019). Human natural killer cells mediate adaptive immunity to viral antigens. Science immunology4(35), eaat8116. https://doi.org/10.1126/sciimmunol.aat8116

[12] Rezaie, A., Tavasoli, A., Bahonar, A., & Mehrazma, M. (2009). Grading in canine mammary gland carcinoma. Journal of Biological Sciences9(4), 333-338.