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肝臓活性化・

肝臓脂肪低下

公益財団法人 科学技術交流財団 研究会事業「健康長寿延伸を志向した新規脂肪酸分析法の開発と応用」第4回 研究会(2017.7.28 名古屋)発表、

第20回日本抗加齢医学会総会(2020. .   )発表予定内容、

日本食品科学工学会 第67回大会(2021.8 福岡)発表予定内容

― 共同研究先:株式会社 小名細胞アッセイ技術研究所 ―

― 共同研究先:函館高等専門学校 物質環境工学科 清野晃之 先生 ―

 

開発のきっかけ

 お酒の好きな方は、自分も含め数多くいます。お酒を飲むと、リラックスでき、ストレスが解消されることをいう方が多いです。また、人とのコミュニケーションを取りやすくしてくれるなど、多くの効果があります [1]。

 ところが、お酒を飲むと食欲増進効果があり、肥満から肝臓に中性脂肪がたまる、脂肪肝になりやすくなります。またお酒自体も肝臓で中性脂肪を作る働きを活性化するため、脂肪肝を誘導します。脂肪肝は、肝炎を引き起こし、肝硬変、さらに肝臓がんへと進行していくことが判っています(図1) [2]。これには、ストレス、運動不足、喫煙も大きな要因です。このため、お酒を飲んでストレスを解消するか、それともお酒を飲まずにストレスを解消できるか。。。

 最近、お酒の好きな知人が脂肪肝から肝臓がんへ進み、何とかしなければいけないと思い開発を行うことにしました。

図1 脂肪肝から肝臓がんへの進行

 

脂肪肝とは?

 肝臓は、糖分を分解し、エネルギー源として中性脂肪を合成、蓄積します(図2)。しかし、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎなどによって、肝臓に脂肪が30%以上たまった状況を脂肪肝と言います [3]。脂肪肝は、飲酒、肥満、ストレス、喫煙、糖尿病など、多岐にわたる原因があり、飲酒の場合をアルコール性脂肪肝、それ以外を非アルコール性脂肪肝と二つのタイプに分けられます [2, 3]。

 アルコールは肝臓で代謝・解毒されます。この際、エネルギーと脂肪酸になりますが、この脂肪酸が中性脂肪になります。また、この過程では、肝臓で脂肪の燃焼がなされないため、また糖分から中性脂肪を作る働きを活発にするため、脂肪が蓄積することになります。さらに、お酒を飲むと食欲増進効果になるため、肝臓にたまる脂肪が増えてしまい、飲み過ぎは、アルコール性脂肪肝になります [2]。

 非アルコール性脂肪肝は、肥満や糖尿病などにより、インスリンの分泌が悪くなり、肝臓に脂肪がたまりやすくなることによって起こります [3]。

 脂肪肝が進行すると、脂肪性肝炎を引き起こし、炎症により肝臓の線維化が生じ肝硬変、さらに遺伝子変異により肝臓がんとなり、最後には死を迎えます(図1) [2, 3]。この原因として、肝臓に脂肪がたまると、肝臓の細胞中のミトコンドリアに変異が生じるのが、一因とされています [4, 5]。

 

図2 肝臓の働き

 

 

脂肪肝を解消するには?

 脂肪肝を解消するには、飲酒を控え、食事を抑え、運動することです。他の方法があればお酒も気軽に飲めるのに。。。ストレスがたまっても結局のところ脂肪肝になるのに。。。そこで、調べてみると、残念ながら、これといった薬はありませんでした。次に食品を検索してみると、ニンニク、ニガウリ(ゴーヤ)、生姜、ライチ、朝鮮人参、朝鮮五葉(チョウセンマツ)などの抽出物(エキス)や成分が報告されていました [6]。この中で、長い食習慣があり、臨床試験が行われている生姜に注目しました [7-9]。

 

 

生姜とは?

 生姜は、紀元前650年前から熱帯アジアで栽培され、生薬や漢方薬として、また薬味などの料理素材として、健康のための長い食習慣の歴史を持ちます [10]。

 生姜の効能は、吐気・嘔吐止め、消化促進、脂質低下(血中脂質改善、抗脂肪蓄積)、抗高血圧(心臓血管保護)、抗炎症(鎮痛、咳止め、抗関節炎)、抗酸化、抗がん、エネルギー消費促進(発汗、熱産生、血行改善、冷え性改善、体脂肪燃焼促進、)、グルコース吸収低下、抗肥満、抗糖尿病、免疫力向上、抗微生物、利尿促進、神経保護、などが報告されています [10-15]。有効成分としては、生生姜に多いジンゲロール、加熱生姜や乾燥生姜に多いショウガオール、ジンゲロン、ケルセチン、精油などがあります [15]。

 生姜の副作用としては、胸やけ、下痢、口の中の刺激などがあります [15]。

 生姜が脂肪肝を低下させる臨床研究もされていますが [7]、生姜の成分分析がなく、どの成分が有効であったかは不明でした。

 

 

脂肪肝を低下させる生姜の有効成分は?

 脂肪肝を低下させるには、肝臓の代謝(ミトコンドリア)を活性化することと、脂肪分(脂質)が分解されこと(脂質のβ酸化促進)が重要です。

生姜では、生生姜に多い成分である6-ジンゲロールと、加熱生姜に多い成分である6-ショウガオール、の二つの成分とともに、精油が報告されています [8, 16, 17, 18]。ところが、6-ジンゲロールを否定する論文もあり [17]、状況がはっきりしませんでした。

 そこで、肝臓の細胞を使って、6-ジンゲロールと6-ショウガオールによる肝臓の活性化と脂肪低下の試験を行いました。

 

 

6-ジンゲロールと6-ショウガオールによる肝臓の活性化と脂肪低下の試験

 生姜の成分は、肝臓内で肝臓細胞にまず直接作用し、次に肝臓による代謝が行われ代謝成分が肝臓細胞に作用します。このため、肝臓の細胞を用い、臨床結果と相関のある独自のHP-SPR-3D法により [19]、ミトコンドリアの活性化をモニターしました。また、細胞を三次元的に培養して、脂肪量の変化を測定しました。

この結果、100nMにおいて、6-ジンゲロールでは肝臓での代謝前後の両方でアポトーシス(自殺)毒性が、6-ショウガオールでは肝臓での代謝活性促進が、代謝前よりも代謝後で2倍程度大きく認められました(図3, 4)。6-ショウガオール 1000nMでは、代謝前ではアポトーシス毒性が、代謝後は代謝活性の促進により無毒化が観察されました。6-ショウガオール100nMでは、約20%の肝臓脂肪(光って見える部分)の低下が見られました(図5)。

以上から、生生姜成分6-ジンゲロールでは、肝臓の代謝活性化・肝臓脂肪の低下はみられませんでした。加熱生姜成分6-ショウガオールでは、肝臓の代謝活性化・肝臓脂肪の低下が認められましたが、6-ショウガオールだけを摂り過ぎると、逆効果になることがわかりました。

図3 6-ジンゲロールの肝臓活性化効果

図4 6-ショウガオールの肝臓活性化効果

図5 6-ショウガオールの肝臓脂肪低下効果

 

生姜の能力を脂肪肝低下に最大限に活かすには?

 根生姜(生姜の根茎)は、生姜の赤ちゃんです。秋に出来た生姜が冬を越え、春になると眠りからめざめ、芽を出し成長します。このため、生姜の成分は、眠っているときは、雨が降っても流れ出ないように、水に溶けにくい形になっています。これが眠りからめざめると、成分を水に溶けやすい形に自分自身で変え、自分の成長に使います [20]。

 これには、糖、アミノ酸、ミネラル、ホルモン、さらに芽が出たあと、病気にかからないように、免疫を上げる成分も作ります。

ヒトでも同じで、水に溶け難いものは、体の中で水に溶ける成分に変える必要があり、効率が悪く、毒性が出やすくなる場合もあります [21]。

抽出物やエキスも悪くないですが、やはり食品のままできれば摂取したいと考えました。

 

生姜ならなんでも良い?

 長崎県島原産の無農薬栽培の生姜のみを、協力農家から購入して使用しました。このため、安心でおいしい食材を厳選しました。

 

 

どうやって目覚めてもらおう?

 目覚めが同時じゃないと成分が不均一になってしまう…そこで、生姜を独自開発グランディール製法™により1-2日で迅速・同時にめざめてもらい、赤ちゃんの生命力の成分を作ってもらいました。

 このあと、スライスして蒸し、乾燥しました(図6)。この結果、めざめ生姜のショウガオールが、めざめさせていないもの(ウルトラ生姜=蒸し生姜乾燥物)の1.5倍になりました。

 

図6 実験スキーム

 

 

迅速・休眠打破生姜根茎のヒトに対する肝臓代謝活性化・肝臓脂肪低下効果

 ヒト肝臓の細胞を用いて、経口投与(食べること)を想定した、迅速・同時休眠打破生姜根茎の肝臓細胞の代謝活性化を、臨床結果と相関のある独自のHP-SPR-3D法により [19]、ミトコンドリアの活性化をモニターしました。また、細胞を三次元的に培養して、脂肪量の変化を測定しました(図6)。

 この結果、濃度依存的に肝臓の代謝は活性化され、さらに肝臓の脂肪低下が認められました(図7)。少なくとも10%の減少が見込めます。

図7 迅速・同時休眠打破生姜根茎の肝臓脂肪低下効果

 

 

迅速・休眠打破生姜根茎

 濃縮も抽出せず、長い食習慣のある食品そのままで、安心・安全な高機能化に成功しました。年齢とともに低下していく若々しさや、健やかさ。これを生姜の赤ちゃんの生命力が、体本来の力に働きかけ、良い状態に保つお手伝いをします。

 

 

引用文献

[1] Scott, R. G., Wiener, C. H., & Paulson, D. (2020). The benefit of moderate alcohol use on mood and functional ability in later life: due to beers or frequent cheers?. The Gerontologist60(1), 80-88.

[2] O’shea, R. S., Dasarathy, S., McCullough, A. J., & Practice Guideline Committee of the American Association for the Study of Liver Diseases and the Practice Parameters Committee of the American College of Gastroenterology. (2010). Alcoholic liver disease. Hepatology51(1), 307-328.

[3] Mostafa, M., Abdelkader, A., Evans, J. J., Hagen, C. E., & Hartley, C. P. (2020). Fatty liver disease: A practical approach. Archives of Pathology & Laboratory Medicine144(1), 62-70.

[4] García‐Ruiz, C., & Fernández-Checa, J. C. (2018). Mitochondrial oxidative stress and antioxidants balance in fatty liver disease. Hepatology Communications2(12), 1425-1439.

[5] Mantena, S. K., King, A. L., Andringa, K. K., Eccleston, H. B., & Bailey, S. M. (2008). Mitochondrial dysfunction and oxidative stress in the pathogenesis of alcohol-and obesity-induced fatty liver diseases. Free Radical Biology and Medicine44(7), 1259-1272.

[6] Panyod, S., & Sheen, L. Y. (2020). Beneficial effects of Chinese herbs in the treatment of fatty liver diseases. Journal of Traditional and Complementary Medicine, doi: https://doi.org/10.1016/j.jtcme.2020.02.008.

[7] Rahimlou, M., Yari, Z., Hekmatdoost, A., Alavian, S. M., & Keshavarz, S. A. (2016). Ginger Supplementation in Nonalcoholic Fatty Liver Disease: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Pilot Study. Hepatitis monthly16(1), e34897. https://doi.org/10.5812/hepatmon.34897

[8] Liu, C. T., Raghu, R., Lin, S. H., Wang, S. Y., Kuo, C. H., Tseng, Y. J., & Sheen, L. Y. (2013). Metabolomics of ginger essential oil against alcoholic fatty liver in mice. Journal of Agricultural and Food Chemistry61(46), 11231-11240.

[9] Miyamoto, M., Matsuzaki, K., Katakura, M., Hara, T., Tanabe, Y., & Shido, O. (2015). Oral intake of encapsulated dried ginger root powder hardly affects human thermoregulatory function, but appears to facilitate fat utilization. International Journal of Biometeorology59(10), 1461-1474.

[10] Toader, O. R. (2014). Study of the effects of Zingiber officinale (ginger) on spermatogenesis in mice. Annales of West University of Timisoara. Series of Biology17(2), 145-152.

[11] Singletary, K. (2010). Ginger: an overview of health benefits. Nutrition Today45(4), 171-183.

[12] Sharifi-Rad, M., Varoni, E. M., Salehi, B., Sharifi-Rad, J., Matthews, K. R., Ayatollahi, S. A., Kobarfard, F., Ibrahim, S. A., Mnayer, D., Zakaria, Z. A., Sharifi-Rad, M., Yousaf, Z., Iriti, M., Basile, A., & Rigano, D. (2017). Plants of the Genus Zingiber as a Source of Bioactive Phytochemicals: From Tradition to Pharmacy. Molecules (Basel, Switzerland)22(12), 2145. https://doi.org/10.3390/molecules22122145

[13] White, B. (2007). Ginger: an overview. American Family Physician75(11), 1689-1691.

[14] Miyamoto, M., Matsuzaki, K., Katakura, M., Hara, T., Tanabe, Y., & Shido, O. (2015). Oral intake of encapsulated dried ginger root powder hardly affects human thermoregulatory function, but appears to facilitate fat utilization. International Journal of Biometeorology59(10), 1461-1474.

[15] Mao, Q. Q., Xu, X. Y., Cao, S. Y., Gan, R. Y., Corke, H., Beta, T., & Li, H. B. (2019). Bioactive Compounds and Bioactivities of Ginger (Zingiber officinale Roscoe). Foods (Basel, Switzerland)8(6), 185. https://doi.org/10.1186/s12885-017-3706-6

[16] Isa, Y., Miyakawa, Y., Yanagisawa, M., Goto, T., Kang, M. S., Kawada, T., Morimitsu, Y., Kubota, K., & Tsuda, T. (2008). 6-Shogaol and 6-gingerol, the pungent of ginger, inhibit TNF-α mediated downregulation of adiponectin expression via different mechanisms in 3T3-L1 adipocytes. Biochemical and Biophysical Research Communications373(3), 429-434.

[17] Suk, S., Seo, S. G., Yu, J. G., Yang, H., Jeong, E., Jang, Y. J., Yaghmoor, S. S., Ahmed, Y., Yousef, J. M., Abualnaja, K. O., Al-Malki, A. L., Kumosani, T. A., Lee, C. Y., Lee, H. J., & Lee, K. W. (2016). A Bioactive constituent of ginger, 6-shogaol, prevents adipogenesis and stimulates lipolysis in 3T3-L1 adipocytes. Journal of Food Biochemistry40(1), 84-90.

[18] Lai, Y. S., Lee, W. C., Lin, Y. E., Ho, C. T., Lu, K. H., Lin, S. H., Panyod, S., Chu, Y. L., & Sheen, L. Y. (2016). Ginger essential oil ameliorates hepatic injury and lipid accumulation in high fat diet-induced nonalcoholic fatty liver disease. Journal of Agricultural and Food Chemistry64(10), 2062-2071.

[19] Johzuka, J., Ona, T., & Nomura, M. (2018). One hour in vivo-like phenotypic screening system for anti-cancer drugs using a high precision surface Plasmon resonance device. Analytical Sciences34(10), 1189-1194.

[20] Hou, J., Hong, Z., Feng, F., Chai, Y., Zhang, Y., Jiang, Q., Hu, Y., Wu, S., Wu, Y., Gao, X., Chen, Q., Wan, Y., Bi, J., & Zhang, Z. (2017). A novel chemotherapeutic sensitivity-testing system based on collagen gel droplet embedded 3D-culture methods for hepatocellular carcinoma. BMC cancer17(1), 729. https://doi: 10.1186/s12885-017-3706-6

[21] Kigel, J. (Ed.). (1995). Seed development and germination (Vol. 41). CRC press.

[22] Gibson, G. G., & Skett, P. (2013). Introduction to drug metabolism. Springer.