免疫力向上
第18–19回日本抗加齢医学会総会(2018.5.25-27 大阪、2019.6.14-16 横浜)、
統合医療機能性食品国際学会 第26-27回年会(2018.7.21-22、2019.7.27-28 札幌)、
日本食品科学工学会 第66回大会(2019.8.28-31 札幌)、
The 6th International Electronic Conference on Medicinal Chemistry(2020.11.1-31 オンライン;10.3390/ECMC2020-07249 (DOI)) 、
農林水産省「知」の集積と活用の場® 産学官連携協議会(2020.11.19-25 オンライン)、
先端農業連携機構 農業技術革新・連携フォーラム2020(2020.12.14-28 オンライン)、
The 2nd Edition of Food Science and Technology Virtual(2022. 4.15-16 オンライン)、
The 3rd International Electric Conference on Food: Food, Microbiome, and Health(2022.10.1-15 オンライン)
発表内容
免疫とは
免疫(免疫系)とは、自分ではないもの(異物)を見分け、外部から侵入した病原体や体内に発生した異常細胞であるがん細胞などを認識して取り除くことにより、体を病気から保護する仕組みです [1]。この際、異物をパトロールにより発見、そして最初の攻撃である傷害を与えたり、食べてしまうのが自然免疫です。ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージと好中球(白血球)がこの役割をします(図1参照)。
さらに、警報を発令し、異物情報(抗原)情報を伝達し、個々の特異的な構造に対して特異性の高い抗原結合分子(抗体)の作成を促します。樹状細胞がこれを行います。
この情報を受け取り、対応するのが獲得免疫です。情報(抗原)は、ヘルパーT細胞に伝達され、ヘルパーT細胞は自然免疫系のマクロファージを活性化します。同時に、最初は個々の異物に特異的な細胞が少ないため、サイトカインをB細胞、キラーT細胞に送り活性化して細胞を増殖させ、有効な攻撃を起こすのに十分な数を作り出します。また、異物の情報を記憶して、同じ異物に再び遭遇すると速やかに攻撃できる長寿命の細胞を産生します。
これらの中でナチュラルキラー(NK)細胞が現在注目を集めています [2]。
図1 免疫のメカニズム
ナチュラルキラー(NK)細胞
ナチュラルキラー(NK)細胞は、上述のように自然免疫応答として、最初に異物を攻撃します [2]。
一方、獲得免疫応答では、ナイーブT細胞は、異物侵入や感染中に増殖し対応するが、同じ異物(抗原)や病原体に繰り返し遭遇した際に増殖する、長寿命の記憶細胞を産生します。
しかし、最近NK細胞は、体の感染後に100から1,000倍に増殖し、しかもリンパ系と非リンパ系器官に数ヶ月間存在することが報告されています [2]。これらの自己複製するメモリー NK細胞は急速に再活性化時に脱顆粒し、サイトカインを産生します。これがB細胞とキラーT細胞を活性化し、異物への攻撃を増します。
このため、NK細胞は、自然免疫と獲得免疫の両方の強力な防御免疫を行えることが判明し、免疫力の向上のカギとして働いています。
開発のきっかけ
NK細胞の活性化について、短時間で高い効果が得られるする食品を探していました。この中には、ビタミン類、イソフラボンであるゲニステインが含まれるソラマメ、クルクミンが含まれるウコン、ショウガ、ニンニクなどが候補として挙げられました [3]。しかし、NK細胞の活性と増殖を促進するものは多糖類だけで、腸管吸収されないものや効果の低いもの、毒性があるものもありました。
探索を続けている中で、抗がん向けに開発を進めていた「急速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳」を摂取した場合に、「体が温まる」、「目が良く見えるようになった」、「疲れが取れる」などの体感があることが判ってきました。この資材は、巨峰ブドウの種子を独自開発グランディール製法により、迅速・同時休眠打破(めざめ)させることにより、タネ自身で中身(成分)を変換させた後、タネの中身(種子胚乳)だけを取り出したものです。このため、抽出も濃縮もしておらず、長い食習慣のある多糖類主体の食品そのままです。「抗がん」の項を参照。
図2 迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳のNK細胞活性化効果
図3 迅速・同時休眠打破巨峰ブドウ種子胚乳の免疫力向上効果
引用文献
[1] Chaplin, D. D. (2006). 1. Overview of the human immune response. Journal of allergy and clinical immunology, 117(2), S430-S435.
[2] Sun, J. C., Beilke, J. N., & Lanier, L. L. (2009). Adaptive immune features of natural killer cells. Nature, 457(7229), 557-561.
[3] Grudzien, M., & Rapak, A. (2018). Effect of natural compounds on NK cell activation. Journal of immunology research, 2018: 4868417.